あの3連覇戦士たちは今|鉄壁だったカープ中継ぎ陣の現在地

カープ3連覇を支えた中継ぎ陣をイメージしたブルペンのグローブと投手たち その他

2016年から2018年にかけて、カープは球団史上初となるリーグ3連覇を達成した。

あの時代を振り返ると、「タナ・キク・マル」や鈴木誠也、新井貴浩らが並んだ強力打線に目が向きやすい。

しかし、3連覇を支えたのは打線だけではない。試合終盤を任された中継ぎ陣もまた、優勝には欠かせない存在だった。

今村猛、一岡竜司、中崎翔太、中田廉、ジャクソン、ヘーゲンズ、フランスア、アドゥワ誠。

当時は永遠に続くように思えたブルペンも、2026年現在、その多くがユニフォームを脱ぎ、それぞれの道を歩んでいる。一方で、今も現役を続ける選手、故障を乗り越えて再び輝く選手もいる。

今回は、カープの3連覇を支えた中継ぎ陣の活躍と現在地を振り返りたい。

今村猛|3連覇の代償を背負った男

3連覇時代の中継ぎ陣を語るうえで、今村猛を外すことはできない。

2016年は67試合、2017年は68試合に登板。勝ちパターンから火消しまで、あらゆる場面で腕を振った。

派手な感情表現を見せるタイプではなかった。それでも、気づけばマウンドに立ち、淡々と役割を果たしていた。そんな投手だった。

しかし、その「当たり前」の裏側で、今村の体は悲鳴を上げていた。引退後、自身のYouTubeチャンネルで、現役時代に抱えていた故障について語っている。

今村猛2ndLife「今村猛が選手時代にしてしまった怪我を大公開」

ファンには平然と投げ続けているように見えても、その実態は満身創痍だった。

2021年オフ、カープから戦力外通告を受け、同年限りで現役を引退。30歳という若さでユニフォームを脱いだ。

引退後はトレーニング指導やYouTubeなどを通じてスポーツに関わり、新たな道を歩んでいる。

25年ぶりの優勝、そして3連覇。その裏には、体を削りながら投げ続けた今村の存在があった。

一岡竜司|人的補償からデータアナリストへ

2013年オフ、大竹寛のFA移籍に伴う人的補償でカープへ加入した一岡竜司。

移籍1年目の2014年から31試合に登板し、16ホールド、防御率0.58を記録。その後もチームを代表するセットアッパーとして、3連覇時代のブルペンを支えた。

派手なタイプではなかったが、一岡がマウンドに上がると不思議な安心感があった。

高校卒業後は沖データコンピュータ教育学院へ進学し、コンピュータを学びながら野球を続けてプロ入りした経歴を持つ。

2023年限りで現役を引退。現在は広島東洋カープの情報処理部に所属し、データアナリストとして選手や首脳陣を支えている。

現役時代は右腕で勝利に貢献し、今は数字とデータでチームを支える。一岡らしい第二の野球人生だ。

中崎翔太|幾度もよみがえった守護神

3連覇時代の守護神といえば、中崎翔太だ。

2016年には34セーブ、防御率1.32を記録。25年ぶりのリーグ優勝を決めた試合で最後のアウトを奪い、胴上げ投手となった。

その後も守護神として3連覇に貢献したが、黄金期の後は故障と手術に苦しんだ。一時は現役続行を不安視する声もあった。

それでも中崎は諦めなかった。復活を遂げて再び一軍ブルペンの一角を担い、2026年5月13日には史上10人目となる通算100ホールド・100セーブを達成した。

全盛期と役割は変わっても、故障を乗り越えながら投げ続ける姿は、多くのファンの胸を打つ。

中田廉|ブルペンを支えた火消し役

中田廉も、3連覇時代のブルペンを語るうえで忘れられない存在だ。

勝利の方程式として脚光を浴びるだけでなく、走者を背負った難しい場面でマウンドへ上がり、後続を断つ。そんな火消し役も任された。

明るいキャラクターも魅力で、チームメートやファンから愛され、ベンチやロッカールームの雰囲気づくりにも一役買った。

2022年限りで現役を引退。現在は広島を拠点に、タレント、野球解説者、アスリートコメンテーターなどとして活動している。

現役時代とは違う形で、今も広島のスポーツ界を盛り上げている。

ジャクソン|笑顔で愛された助っ人右腕

ジャクソンといえば、抑えてベンチへ戻る際に見せた「ジャクソンスマイル」を思い出すファンも多いだろう。

独特のルーティンと力強いストレートを武器に、2016年から2018年までカープに在籍。リーグ3連覇に大きく貢献した。

退団後はMLBへ復帰し、千葉ロッテマリーンズでもプレー。現役を退いた後の2025年4月8日、MLBドラフトリーグのウェストバージニア・ブラックベアーズで投手コーチに就任した。

現在は、培った経験を若い投手へ伝える指導者として新たな野球人生を歩んでいる。

在籍期間は3年間。それでも、あの笑顔と力強い投球は今もカープファンの記憶に残っている。

ヘーゲンズ|海を渡って投げ続ける万能右腕

ヘーゲンズは、先発、中継ぎ、ロングリリーフと、さまざまな役割をこなした万能投手だった。

目立つ存在ではなかったが、チーム事情に応じた起用に応え続けた。長いシーズンを戦う優勝チームには、こうした投手が欠かせない。

2017年限りでカープを退団した後は、アメリカのマイナーリーグや独立リーグでプレーし、その後は台湾プロ野球へ。2026年現在も台湾で現役を続けている。

カープを離れて長い時間が過ぎても、海の向こうでマウンドに立ち続けている。

フランスア|剛腕左腕は今も現役

3連覇の終盤に台頭したフランスア。

150キロを超えるストレートを武器に、一気に勝ちパターンへ駆け上がった。将来の守護神候補として大きな期待を集めた左腕だった。

カープ退団後も海外へ活躍の場を移し、2026年現在も現役を続けている。

赤いユニフォームを脱いだ今も、あの剛速球を武器にマウンドへ上がり続けている。

アドゥワ誠|復活を果たした3連覇戦士

アドゥワ誠は、3連覇時代を知る現役選手の一人だ。

2018年、高卒2年目ながら53試合に登板し、若手中継ぎとしてリーグ優勝に貢献した。

その後は故障に苦しみ、思うように登板できない時期が続いた。それでも2023年に4年ぶりの一軍登板を果たし、2024年には先発ローテーションの一角として6勝を挙げた。

2025年は思うような結果を残せなかったが、アドゥワの物語はまだ終わっていない。

故障を乗り越え、一軍へ戻ってきた姿をファンは知っている。だからこそ、もう一度マツダスタジアムのマウンドで輝く日を信じたい。

永遠に続くと思っていたブルペン

2018年の秋、あのブルペンが数年後には大きく姿を変えていると想像できたファンは少なかっただろう。

今村、一岡、中田、ジャクソン。毎日のようにマウンドへ上がっていた投手たちはユニフォームを脱ぎ、それぞれ別の道を歩んでいる。

その一方で、中崎とアドゥワは今もカープで戦い、ヘーゲンズは台湾で、フランスアは海外で現役を続けている。

プロ野球選手として過ごせる時間は、私たちが思っている以上に短い。

だからこそ、今見ている選手たちの姿を大切にしたい。数年後、彼らもまた「あの頃の選手」として語られる日が来るのだから。

参考資料

※選手の所属・活動状況は2026年6月19日時点。

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