カープの補強ポイントはどこか|2026年のチーム成績から2027年シーズンの弱点を考える

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カープの補強ポイントはどこか。

結論から書くと、2026年の数字が示す弱点ははっきりしている。優先順位は、(1)二遊間、特に遊撃手。(2)得点力を底上げする中軸の打力。(3)先発投手の層。(4)正捕手の育成。この4つだ。

そして大前提として、補強の前に「流出を防ぐ」ことが今オフ最大の仕事になる。床田寛樹、森下暢仁、坂倉将吾の3人が新たに国内FA権を取得したからだ(NPB公示)。この記事では、2026年シーズンのチーム成績をもとに、弱点の根拠を数字で整理していく。

まず2026年のカープを数字で振り返る

2026年の広島は61勝78敗4分、勝率.439の4位。3年連続のBクラスに終わった(NPB公式戦成績)。

指標2026年広島セ・リーグ順位
得点4316位
打率.2236位
本塁打915位
防御率3.395位
失点5205位

(出典:NPB公式チーム成績、スポーツナビ順位表)

目立つのは打線の数字だ。得点431はリーグ最下位で、12球団でも最少。チーム打率.223、出塁率.288もリーグ最下位クラスで、得点圏打率も.229にとどまった(データで楽しむプロ野球)。投手陣も防御率3.39でリーグ5位と、投打ともに「あと一歩」ではなく、はっきり下位の数字である。

以下、この数字をポジションごとに見ていく。

1. 最大の穴は二遊間、とりわけ遊撃手

今オフ、カープの二遊間は激変した。

球団は10月1日、小園海斗、矢野雅哉、前川誠太、田村俊介の4選手と来季の契約を結ばないことを発表した。球団は指定薬物の使用事実は確認されていないとしつつ、「球団との信頼関係を築くのが難しい」と説明している(日刊スポーツ)。

経緯はともかく、戦力面だけを見れば痛手は大きい。小園は2026年も101試合に出場して打率.257を残した遊撃のレギュラーで、矢野は2024年にゴールデン・グラブ賞を受賞した守備の要だった。その2人が同時に抜ける。

残る候補で2026年に最も遊撃・二塁で起用された勝田成は109試合で打率.203。二塁の菊池涼介は133試合に出場したが打率.234で、ベテランの負担を軽くする存在も必要になってくる。

球団自身もここを最大の補強ポイントと判断したのだろう。10月22日のドラフト会議では、1位で亜細亜大の内野手・山里宝を単独指名した(NPBドラフト会議公式)。ただ、即戦力と評される新人でも、開幕から遊撃のレギュラーを任せられるかは未知数だ。山里の成長を待ちながら穴を埋めるのか、トレードや新外国人などで「つなぎ」の戦力を用意するのか。ここが今オフの編成の焦点になる。

2. 得点力そのもの。中軸の長打と、2027年から始まるDH

打線全体の弱さも数字に出ている。

2026年のチーム最多本塁打はファビアンの16本。モンテロが13本、坂倉が15本と続くが、20本塁打を打った打者はいなかった。打点のチームトップは坂倉の74打点で、規定打席到達者の中で打率トップも、その坂倉の.251(NPB公式・個人打撃成績)。つまり「3割打者不在」「大砲不在」の両方を抱えたままシーズンを終えた。

さらに2027年からは、セ・リーグでも指名打者制が導入される。守備に就かない「打つだけの枠」が1つ増えるわけで、各球団ともDHを任せられる打者の確保が課題になる。デイリースポーツによれば、広島も指名打者制に備えて新外国人の調査を進めており、在籍する外国人選手の去就は流動的だという。ファビアンは102試合で打率.223、16本塁打、モンテロは124試合で打率.232、13本塁打。2人とも残留を希望している旨が報じられているが、球団の判断はこれからだ(デイリースポーツ)。

DH枠は、裏を返せば得点力を一気に底上げできる枠でもある。ここに長打のある打者を置けるかどうかで、2027年の打線の姿は大きく変わるはずだ。

3. 先発投手は「枚数」も「勝ち星」も足りない

投手陣はリリーフに強みがある一方、先発に課題が残った。

2026年に規定投球回へ到達した先発は、床田寛樹(143.1回、8勝6敗、防御率2.76)ただ1人。チーム最多勝もその床田の8勝で、2桁勝利を挙げた投手はいなかった。森下暢仁は137.2回で7勝11敗、防御率3.60。先発に転向した栗林良吏が121.1回で7勝6敗、防御率2.89と結果を残したが、チームのQS率は45.5%と低く(データで楽しむプロ野球)、ローテーションの後半を担う投手が固定しきれなかったシーズンだった。

対照的に救援陣は、森浦大輔が27セーブ、防御率2.37、ハーンが防御率1.53で26ホールド、遠藤淳志が防御率2.26と安定していた(NPB公式・個人投手成績)。補強の優先度は救援より先発、というのが数字からの読みになる。

そしてここでもFAが絡む。床田と森下は今季、新たに国内FA権を取得した。NPBの公示(10月19日)で有資格者として発表されており、球団は「宣言残留」を認める方針を鈴木球団本部長が明かしている(スポーツ報知)。2人が行使するかどうかは現時点では分からない。ただ、先発の柱2人を同時に失う事態になれば、補強どころではなく再建レベルの話になる。まずは残留が大前提だ。

4. 捕手は「坂倉依存」ではない。持丸・石原の次を育てられるか

最後に捕手。ここは少し見方を変える必要がある。

もちろん坂倉将吾も捕手で、開幕直後はスタメンマスクをかぶっていた。ただ、シーズン中盤以降に実際にマスクを分け合ったのは、持丸泰輝と石原貴規の2人だ。2026年の先発マスクは持丸がチーム最多の76試合、石原が50試合、坂倉は16試合(Baseball Chronicle調べ)。坂倉は一塁・三塁での出場が中心になり、打線の中軸としての役割の方が大きくなっていった。つまり今のカープの捕手は「坂倉への依存」ではなく、「持丸・石原への依存」が実態に近い。

問題は、その2人がまだ「絶対的な正捕手」とは言えないことだ。持丸は自己最多の102試合に出場したが、打率.183、捕逸9はリーグワーストタイ。デイリースポーツは「正捕手奪取までには至らなかった」と伝えており、本人も「勝てる捕手」を目指して秋に鍛え直している段階だ。石原は70試合で打率.199と打撃は物足りず、守備で試合を作るタイプ。この2人のどちらかが故障や不調に陥れば、途端に層が薄くなる。

さらに、その下の世代が続いていない。次に名前が挙がる清水叶人は22歳で、2026年の一軍出場は2試合(先発マスクは1試合)にとどまった。ファームでは56試合に出場したが、一軍の正捕手を争う段階まではまだ距離がある。持丸・石原と清水の間に、「あと一歩で一軍のマスクを任せられる」中間世代がいないのだ。

ドラフト2位で立命館大の捕手・西野啓也を指名したことからも(NPBドラフト会議公式)、球団がこの層の薄さを課題と見ていることがうかがえる。ただ、捕手は新人を獲ればすぐ解決するポジションではない。補強ポイントは「二番手をもう1人獲る」こと以上に、持丸を正捕手に育て切ること、そして清水や西野ら若手を一軍レベルまで引き上げること。正捕手を育てる作業そのものが、このポジションの補強になる。

なお坂倉のFAは、この捕手問題というより、中軸打者を失うかどうかという打線全体の問題として考えた方が実態に近いだろう。

まとめ

2026年の数字から見たカープの補強ポイントは、次の4点に集約される。

  1. 遊撃を中心とした二遊間(小園・矢野の退団で最大の穴)
  2. DH制導入を見据えた中軸の長打力(得点431はリーグ最下位)
  3. 先発投手の層(規定投球回到達は床田1人、2桁勝利なし)
  4. 正捕手の育成(先発マスクは持丸76試合・石原50試合に集中し、その下は清水まで世代が空いている)

ただし今オフの最優先事項は、新しい選手を獲ることより先に、FA権を取得した床田、森下、坂倉の3人を残すことだ。この3人の残留が決まって初めて、上記の補強ポイントに向けた動きが生きてくる。

/184/「カープがFAで補強しない理由」で書いたとおり、カープはFAで大物を獲りにいく球団ではない。そのぶん今オフは、ドラフトで指名した即戦力の新人、新外国人の調査、そして主力の残留交渉という、カープらしい編成の手腕が問われるオフになるはずだ。

参考

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