以前の記事では、2026年現在のカープ若手野手12人について「10年後、こんな選手になっていたら最高だ」という理想の完成形を勝手に考えた。
あれは願望の話。今回は現実の話をしたい。
2026年シーズンの一軍とファームの最終成績が出そろった。数字だけを見れば、12人の現在地はかなりはっきり分かれている。結論を先に言うと、すでに一軍の戦力として定着したと言えるのは佐々木泰くらいで、その次に「あと一歩」のグループ、「二軍では結果を残したが一軍の壁に当たっている」グループが続く。
成績はすべて2026年シーズン終了時点の最終成績。出典は末尾にまとめた。
なお、12人の中でも田村俊介については、10月1日に球団から来季の契約を結ばないことが発表され、自由契約となっている(日刊スポーツ)。成績そのものは二軍で文句のない数字だっただけに残念だが、現所属を前提にした「現在地」の対象からは外して整理する。彼の今後の野球人生は、別の場所で応援したい。
まず現在地を一覧で
| 選手 | 一軍成績(2026年) | ファーム成績(2026年) | 現在地 |
|---|---|---|---|
| 佐々木泰 | 121試合.254 6本塁打 26打点 | 8試合.333 | 一軍定着 |
| 勝田成 | 109試合.203 0本塁打 5盗塁 | 3試合.500 | 一軍出場は多いが打撃が課題 |
| 佐藤啓介 | 70試合.203 5本塁打 16打点 | 26試合.344 OPS.953 | 一軍と二軍の間 |
| 平川蓮 | 29試合.186 1本塁打 11打点 | 21試合.301 2本塁打 | 一軍の壁に挑戦中 |
| 二俣翔一 | 48試合.183 1本塁打 | 12試合.279 | 一軍出場はあるが打率が課題 |
| 仲田侑仁 | 出場なし | 88試合.238 4本塁打 38打点 | 二軍レギュラー、一軍未到達 |
(打率は一軍・ファームとも最終成績)
佐々木泰|唯一「定着した」と言える現在地
一軍121試合出場、打率.254、6本塁打、26打点。チームの野手では坂倉将吾、菊池涼介に次ぐ出場試合数で、もはや「若手の有望株」というより一軍のレギュラー陣の一人としてシーズンを戦った計算になる。
ファーム出場が8試合しかないのも、一軍に居続けた裏返しだ。
もちろん課題がないわけではない。理想編で書いた「打率3割・20本前後・100打点の4番」とは、まだ距離がある。ただ、12人の中で「一軍定着に近いのは誰か」という問いに対しては、現時点で唯一「もう定着している側」と答えられる選手だと思う。
勝田成|出場109試合、それでも打率.203
勝田成は一軍109試合に出場した。出場試合数だけを見れば佐々木に次ぐ多さで、守備と走塁の評価が首脳陣から高かったことの表れだろう。
ただ、打撃は打率.203、本塁打0。盗塁5、三塁打3と足の見せ場はあったものの、この打撃では「守備走塁要員」から抜け出せない。
理想編では「打率.300・10本塁打の二塁手」を夢見たが、現実の第一歩は、まず一軍で打率.250前後を残すこと。2027年は打撃がどこまで伸びるかが、出場機会そのものを左右しそうだ。
佐藤啓介|ファームでは無双、一軍では長打だけ見せた
佐藤啓介の2026年は、見る成績によって印象が正反対になる。
ファームでは26試合で打率.344、出塁率.464、OPS.953。選球眼と長打力を両立させ、二軍では別格の数字だった。
一方の一軍では70試合に出場して打率.203。それでも5本塁打を放っており、「当たれば飛ぶ」ことは一軍でも証明した形だ。
課題は明確で、一軍投手のボールへの対応と確実性。逆に言えば、ファームでやるべきことはもう少ない選手でもある。2027年は一軍に居続けて打席をもらえるかどうかが勝負になる。
平川蓮|オープン戦の勢いを、シーズンで再現できるか
平川蓮は春に存在感を見せた。オープン戦では打率.323を残し、規定打席以上の選手ではリーグ2位の数字だった。ファームでも21試合で打率.301、2本塁打と結果は出している。
ただ一軍では29試合で打率.186、1本塁打。三振36と、一軍投手のボールに空振りが増えた。
理想編で「柳田悠岐や糸井嘉男のような超人」と最大級の夢を書いた選手だけに、現実とのギャップは大きい。それでも、オープン戦とファームで「打てる時期」の姿は見せている。2027年は一軍の打席で三振を減らせるかが分岐点になりそうだ。
二俣翔一|一軍48試合出場、打率.183という現実
二俣翔一は一軍で48試合に出場した。内野の複数ポジションを守れる使い勝手の良さが、出場機会につながったのだろう。
ただ打撃は打率.183、1本塁打。ファームでも12試合で打率.279と、圧倒的な数字ではない。
理想編では「坂本勇人のような大型ショート」を期待した。現時点では、まずユーティリティーとして一軍に残り続けることと、その立場のまま打撃をどこまで底上げできるかが現実的なテーマだと思う。
仲田侑仁|二軍の4番は、一軍に届いたか
仲田侑仁はファームで88試合に出場し、打率.238、4本塁打、38打点。規定打席に到達し、西地区の打率ランキングでは4位に入った。6月にはファーム月間MVPも受賞している(12試合で打率.333)。
二軍のレギュラーとして1年戦った実績は本物だと思う。ただ、2026年は一軍出場がなかった。打率.238という数字と、右の大砲候補に求められる本塁打数が、昇格を後押しするまでには至らなかったということだろう。
理想編で期待した「30本塁打を打つ右の大砲」への道は、まずファームで打率と長打を両立させ、一軍の切符をつかむところから。2027年は正念場のシーズンになる。
まとめ|2027年の序列は、まだ固定されていない
2026年の成績から見た現在地を整理すると、こうなる。
- 一軍定着:佐々木泰
- 一軍出場は多いが打撃が課題:勝田成、二俣翔一
- 一軍と二軍の間、あと一歩:佐藤啓介、平川蓮
- 二軍のレギュラーから一軍を目指す:仲田侑仁
ただし、これは2026年終了時点のスナップショットにすぎない。若手の序列は1年で簡単に入れ替わる。二軍で結果を残した選手が一軍の打席をつかめば、一気に景色が変わる可能性もある。
10年後の完成形を夢見る前に、まず2027年、誰が一軍の打席を増やすのか。そこを楽しみに見ていきたい。
関連記事
理想の完成形を勝手に考えた「願望編」はこちら。今回の「現実編」と読み比べると、夢と現在地の距離が見えて面白いはずだ。
- カープ期待の若手野手12人|答え合わせは10年後、理想の完成形を勝手に考えてみた(https://carp709917.com/239/)
参考
- NPB公式「2026年度 広島東洋カープ 個人打撃成績(ファーム・リーグ(西地区))」:https://npb.jp/bis/2026/stats/idb2_c.html
- NPB公式「2026年度 ファーム・リーグ(西地区)個人打撃成績(規定打席以上)」:https://npb.jp/bis/2026/stats/bat_2w.html
- NPB公式「2026年度 オープン戦 個人打撃成績(規定打席以上)」:https://npb.jp/bis/2026/stats/bat_op.html
- NPBデータストア「2026年 広島東洋カープ 打撃成績(1軍)」:https://baseball-data-store.com/batting_stats_1st?team_id=5&year=2026
- デイリースポーツ「広島 大砲候補・仲田が6月のファーム月間MVP賞受賞」(2026年7月9日):https://www.daily.co.jp/baseball/carp/2026/07/09/0020569360.shtml
- 日刊スポーツ「広島が小園海斗、矢野雅哉ら4選手に戦力外通告」(2026年10月1日):https://www.nikkansports.com/baseball/news/202610010001247.html

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